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ラジオ体操
ラジオ体操(ラジオたいそう)とは国民の体力向上と健康の保持や増進を目的とした一般向けの体操の1つである。 またはその体操用音楽をピアノ伴奏にのせて指導を行う、NHKのラジオ番組。
1925年3月にアメリカのメトロポリタン生命保険会社が健康増進・衛生思想の啓蒙を図る目的で考案され、広告放送として放送されていた世界初のラジオ体操が基となっている。 1925年に保険事業の視察で訪米した当時の逓信省簡易保険局(現・株式会社かんぽ生命保険)の猪熊監督課長がアメリカでのラジオ体操を知り、日本に帰国したのち日本でもラジオ体操を行う事を提案、1927年にラジオ体操を行う事を決定、1928年に制定、そして同年11月1日7:00に天皇の御大典記念事業の一環として放送を開始した。 日本で最初の考案者は体育学者の大谷武一で正式名称は国民保健体操である。 NHKで放送を担当したのはラジオ体操のために採用された元軍人の江木理一アナウンサー。 彼は初回からブリーフパンツ1枚でマイク前で体操していたのであるが「照宮成子内親王もラジオ体操に御執心なり」と聞き及ぶや濃燕尾服に蝶ネクタイを締め、正装に身を包んだ上で放送に臨むようになった。
現在の体操は3代目である。 つまり過去2度改訂が行われている。 敗戦時、軍国的側面を助長するとされ禁止されたこともあったがその後復活している。

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番組の構成
現在の放送ではラジオ体操の歌のあと、ラジオ体操第1が流れピアノ演奏を伴う首・手足などの若干の軽い運動のあと、ラジオ体操第2が行われる。 第1と第2の間の演奏曲は定まっておらず、短い時間に季節に合わせた色々な曲が演奏される。 かつてはラジオ体操の歌とラジオ体操第1との間にも軽い運動が存在していたことが多かった。
ラジオ体操の歌
藤浦洸作詞 、藤山一郎作曲。 早朝の回のみ茨木市立北中学校の合唱による。 2008年4月から11月までは、歌の終了後に「ラジオ体操80年」というコールを期間限定で流していた。 但し、夏季・特別巡回ラジオ体操・みんなの体操会の生放送があるときは流れなかった。
放送としては国内向けAMラジオ2波で合わせて1日4回放送されている他、テレビでも「テレビ体操」(1957年10月7日放送開始)として地上波2波で合わせて1日2回放送されている。 この他、テレビでは1999年制定の「みんなの体操」単独の番組が存在する。 テレビ・ラジオとも、国際放送NHKワールドの、NHKワールド・プレミアム、NHKワールド・ラジオ日本でも放送されている。

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ラジオ体操会
学童の夏季休暇中には、全国で早朝に町内会や自治会が主催するラジオ体操の会が催されている。 事前に学校などを通じて配布された出席カード(かんぽ生命等がスポンサーとなり無料配布)を持参して番組開始前に町内の公園や広場などに集まり、主催側持参のラジカセなどから流れる番組に合わせて体操を行なう。 終了後には出席のゴム印を当日の日付部分に押す。 最終日には会への皆勤賞もしくは皆勤でなくとも参加賞として昔ながらに鉛筆などが出されたり、お菓子や図書カードなどが出される地域も多い。 少子化や他のスポーツ活動の早朝練習などの影響から体操会の期間は夏休み全部ではなく平日の2週間ほどに留めたり、実施しない町内も見られるようになった。
この期間中の早朝の番組は全国各地を指導者が巡回して聴取者と共に体操を行う「夏季巡回ラジオ体操 みんなの体操会」(1953年開始。 開始年の初日は7月12日)となり、全国に生中継される。 この日の中継先ではこの体操会自体が市町村単位のラジオ体操大会として普段は各町会で体操を行う児童や保護者を集めて開催されることが多く、翌年以降もこの日をラジオ体操大会として開催するところも存在する。 日本の夏の風物詩の1つにもなっている。 特に中央行事として、「1000万人ラジオ体操・みんなの体操祭中央大会」が行われている。 この模様は、総合テレビや衛星第2テレビでも実況中継される。 夏季休暇中以外でも主として土・日曜日や祝日で「特別巡回ラジオ体操 みんなの体操会」が行われることもある。 ちなみに「巡回ラジオ体操 みんなの体操会」の挨拶は「会場の皆さん、全国の皆さん、そして海外でラジオをお聴きの皆さん、おはようございます」である。 また、ラジオ体操第1の8科目目である「腕を上下にのばす運動」のところでは会場の参加者から「1、2、3、4、5、6、7、8」と言う声が会場全体に響き渡るのが通例となっている。
ラジオ体操会は1930年7月21日に神田万世橋署の面高巡査が子供達が夏休みを楽しく過ごせる様にと千代田区神田佐久間町の佐久間公園で「早起きラジオ体操会」を実施したことが起源と言われ、同公園にはそれに因んだ記念碑が建てられている。 同じ頃佐久間公園に程近い神田和泉町の宮川広場で実施された「全国ラジオ体操会」が起源と言う説もあるが、両者ともお互いが発祥の地であることを認め合っている。
ラジオ第1放送は地震、台風などの大災害が発生した場合は大幅に番組の構成を変更して報道主体の体制になるが、6:30のこの番組が中止されたり時間を変更されたりすることはほとんどない。 ただ番組の途中で地震情報、気象警報、交通情報(主に高速道路の通行止や鉄道路線の不通区間)が放送されることはある(NHKワールド・ラジオ日本は全国一斉に放送される臨時ニュースがある場合を除いて中断することはない)。 また、オリンピック中継の最中であっても休止することなく予定通りの時刻で放送される。 但し、以下の例外もある。
1989年1月7日、昭和天皇危篤の臨時ニュースを放送したため6:30からのラジオ体操の放送が中止された。 そのまま崩御関連の特別番組になったため、ラジオ第1では放送されなかった。
1989年1月8日、前日の昭和天皇崩御に関連した特別番組を放送する関係上、ラジオ体操の放送は行われなかった。 テレビ体操は通常編成に戻された教育テレビで行われた。
2006年7月5日、北朝鮮のミサイル発射ニュース放送に伴い2006 FIFAワールドカップ準決勝「ドイツ×イタリア」が総合テレビから教育テレビに差し替えた上、さらに延長戦に入ったためテレビ体操も5分遅れで放送した。

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種類
ラジオ体操第1
1951年制定、同年5月6日放送開始。 現在の体操は3代目
初代:1928年11月1日 - 1946年4月13日
作曲:福井直秋 作詞:武内俊子(後に「朝風そよそよ ラジオは響く一、二、三」と歌い出す歌詞が付いた)
但し、1945年8月15 - 22日は放送中止
2代目:1946年4月14日 - 1947年8月31日
3代目:1952年 -
「老若男女を問わず誰でもできることにポイントを置いた体操」である。 小学校から工場などの職場まで広く使われており、一般的にはラジオ体操といえば第1のことを指すことが多い。 「事務職向けの体操」という情報が出回ったこともあるが、全国ラジオ体操連盟による説明では「子供からお年寄りまで一般の人が行うことを目的とした体操」である。
作曲:服部正
体操は以下の13科目からなる
のびの運動
腕を振ってあしをまげのばす運動
腕をまわす運動
胸をそらす運動
からだを横にまげる運動
からだを前後にまげる運動
からだをねじる運動
腕を上下にのばす運動
からだを斜め下にまげ、胸をそらす運動
からだをまわす運動
両あしでとぶ運動
腕を振ってあしをまげのばす運動
深呼吸の運動

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ラジオ体操第2
1952年制定、同年6月16日放送開始。 現在の体操は3代目。
初代:1932年7月21日 - 1946年4月13日
作曲:福井直秋 作詞武内俊子(「朝風そよそよ ラジオは響く一、二、三」という歌詞は後に付いていて歌いながら体操ができる仕掛けになっていた)
但し、1945年8月15 - 22日は放送中止
2代目:1946年4月14日 - 1947年8月31日
3代目:1952年 -
職場向けとして制定
「体をきたえ筋力を強化することにポイントを置いて」いる。 ややテンポの速いメロディで、第1より運動量が多い。 主に小学校高学年から高等学校で使われている。 「作業などを行なう現業向けの体操」という情報が出回ったこともあるが、全国ラジオ体操連盟による説明では「働き盛りの人が職場で行うことを目的とした体操」である。 時間が取れないことなどから第1のみを行うことが多い。
作曲:團伊玖磨
最大の特徴は、ボディビルダーを連想させる独特のポージングがあげられる。
体操は以下の13科目からなる
全身をゆする運動
腕とあしをまげのばす運動
腕を前から開き、まわす運動
胸をそらす運動
からだを横にまげる運動
からだを前後にまげる運動
からだをねじる運動
片あしとびとかけ足あしぶみ運動
からだをねじりそらせて斜め下にまげる運動
からだを倒す運動
両あしでとぶ運動
腕を振ってあしをまげのばす運動
深呼吸の運動
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